シワ・タルミ治療(アンチエイジング)
タルミに対する機器を使った治療の基本的原理
機器を使ったタルミ治療には現在多くの方法がありますが、ではそれらはいったい何が違うのかということがわからない人も多いことと思います。
タルミ治療に使用される機器を大別すると、
- レーザーや光治療器など可視光線を照射する機器
- 近赤外線を照射する機器
- 高周波(ラジオ波=RF)を照射する機器
- 高密度焦点式超音波(HIFU)
などがあります。
これらの機器の生体への作用は、簡単に言えば皮膚や皮下組織に対して熱ダメージを与えることです。
熱ダメージを与えることによって、組織の収縮、コラーゲン増生などを起こして若返り変化が期待できます。
治療時の収縮変化は主に即効性を感じる要因となり、一方でコラーゲン増生は2~3ヶ月かけてゆっくり起こりジワリジワリと効いてくる要因になります。
上記に大別した治療法はそれぞれ熱の与え方の違いであり、それによって主に熱刺激を与えることができる深さが変わります。
レーザーなどの光を使った治療は、深達度からみて最も浅い治療になります。
ターゲットは表皮および真皮浅層です。
皮膚表面への作用が強いため、直後からの肌の張り感が得られ、繰り返すことによって肌理の改善などが得られます。
美白・美肌効果は高くても、タルミに対する効果は小さくなります。
近赤外線も光同様に皮膚の表面から熱を照射する治療であり、熱刺激を与えることができるのは主に皮膚表層となりますが、光より強くかつ深く熱を与えることができます。
浅層を強く熱するために高周波に比べて即効性を感じやすい治療になっています。
真皮深層での変化が少ないため、長期的な効果は高周波にはかないませんが、即効性に期待して大切なイベントの前や、高周波治療の合間に治療を行うと効果的です。
光や近赤外線と違い、真皮深層もしくは皮下脂肪層まで熱を加えることができるのが高周波(RF)治療です。
高周波(RF)を調理器具に例えれば「電子レンジ」にあたり、表面から焼くのではなく内部で熱を発生させて深部を加熱します。
治療時には表面を十分に冷却するので表皮に熱傷は起きません。
熱作用が強ければ即時的な収縮が期待できますが、一方で即時的な収縮が大きいほど痛みを伴います。
現在の高周波治療は痛みや安全性に配慮して、即時的な収縮よりも長期的なコラーゲン増生により期待する治療にシフトしています。
初期のサーマクールは非常に痛い治療として有名でしたが、現在のサーマクールはほとんど痛みがなく治療を受けることが可能です。
42℃メソッド(リラックスF)に至っては痛くなくむしろ気持ちいいくらいの治療です。
そして、HIFU(高密度焦点式超音波)は、高周波よりもさらに深部のSMASをピンポイントで熱凝固させる治療です。
例えばタルミの代表的手術であるフェイスリフトは、皮膚とSMASを2層に分けて引き上げますが、このSMAS部分の処理を担当できるのがHIFUです。
HIFUは決められた深さ、例えば深さ4・5㎜、3・0㎜、1・5㎜などをピンポイントで熱凝固させます。
表皮には熱が加わらないので熱傷の心配もありません。
HIFUは深部に確実に熱凝固を起こすことができますが、欠点は多少痛みを伴うことです。
手術とは違い、機器によるタルミ治療は1回の治療では劇的な変化は期待できるものではありません。
しかし、機器による若返りは1回ごとの変化は小さくても自分の組織そのものが若返っていく治療であり、その変化は非常に自然で、1度獲得した効果がすぐになくなって元に戻るわけではありません。
治療を定期的に継続すれば加齢変化を遅らせることができ、治療を受けているかいないかによって将来的なタルミの程度には大きな差が起こると考えられます。