ジュビダームビスタ ボリフトXCとボルベラXC
美容医療で使用されているヒアルロン酸には様々な製品があります。
まず、製造している会社が多く、製品銘柄が多数存在します。(日本製はありません。)
そして、それぞれの銘柄に柔らかいヒアルロン酸から硬いヒアルロン酸まで多数のライン
ナップがあるため、その総数はかなりの数になると思います。
当院が常時在庫をおいているヒアルロン酸だけでも現在9種類あり、それを治療に応じて
使い分けています。
どの製品を使用するかは、個人開業医の場合はそれぞれの医師の経験とこだわりによって
決められていることと思います。
ヒアルロン酸注入が始まった約20年前に使用されていたのは、レスチレンシリーズと
ハイラフォームシリーズというものでした。
ハイラフォームは他のヒアルロン製剤と異なり、鶏のトサカを原料として作られている
ことが有名でしたが、現在は入手できません。
ヒアルロン酸注入以前はコラーゲンを注入していましたが、コラーゲンは浅いシワに対
して刺入点から漏れるくらい浅く注入してもきれいに仕上げることができました。
しかし、レスチレンが使われだした当時、レスチレンをコラーゲンと同じ要領で注入し
て数珠状の盛り上がりが残ってしまうしてトラブルがよく起こりました。
ヒアルロン酸は、製品によっては注入後に水分を吸収して盛り上がり変形を残すことが
あります。
そのため、ヒアルロン酸はコラーゲンに比べて深めに打つ必要があり、過矯正も禁止
です。
レスチレンは今でも製造されていて、多分以前と比較して製品自体が改良されている
と思うのですが、20年前当時の様子が記憶として残っていて私は使用していません。
レスチレンに比べて注入後に膨隆することが少ないことが特徴であることから使いだ
したのがエセリスという製品です。
エセリスは今ではベロテロと名前を変えていますが、私は今でもこの製品も使用して
います。
特にベロテロ・ソフトは目周辺や上口唇などのシワに対して非常に浅く注入してもほ
とんど凸凹にならず、従来のコラーゲンと同じような感覚で注入することが唯一でき
るヒアルロン酸です。
現在、医療承認を得ているヒアルロン酸製品はアラガン社のジュビダームシリーズと
ガルデルマ社のレスチレンシリーズの2つです。
アラガン社の従来からあるジュビダームビスタウルトラやジュビダームビスタウルト
ラプラスといった製品は、昔のレスチレン同様に注入後に隆起することがあり、私は
ほとんど使用しないのですが、最近になりジュビダームシリーズにも魅力的な製品が
出てきました。
その初めがジュビダームボリューマXCです。
ボリューマXCはVYCROSSシリーズと名付けられた新しい技術で製造されてい
て、低吸水性で注入後に膨隆しにくく、分解吸収が遅いことがウリです。
ボリューマXCは主に少量注入リフトや輪郭形成に使用し、深く注入します。
そして今年の夏から使用できるようになったのが、ボリューマXCと同じVYCRO
SSシリーズのボリフトXCです。
ボリフトXCはボリューマXCより浅い層への注入が可能で、中等度から重度のシワ
に対し、真皮内の中層~深層に注入できます。
もちろんボリューム増大のために皮下への注入にも適します。
低吸水性のため、従来のジュビダームビスタウルトラと違って注入後に数珠状の隆起
を起こしにくく安心して注入できます。
ボリフトXCを実際に使用して驚いたのがその組織へのなじみの良さです。
注入時の抵抗が少なくなめらかで、周囲によくなじんで凸凹になりづらいです。
これで持続性も長いとのことですから、いいことづくめです。
しかし、まだ使用開始して間もないですので、本当にどれくらい持つのかは今後明ら
かになってくることでしょう。
ボリューマXCとボリフトXCの最大の欠点はその価格の高さではないでしょうか。
材料単価が高いので、その分他のヒアルロン酸と比べて治療費を高く設定せざるを
得ません。
今私が一番欲しいと感じている製品は、ベロテロ・ソフトの代わりに目元周囲に安
心して使用できて、ベロテロ・ソフトより持続性の長いヒアルロン酸です。
実はつい最近、ボリフトXCに続いてボルベラXCという製品がリリースされま
した。
ボルフトXCと同じVYCROSSシリーズで、持続性に優れているようです。
残念ながら、まだ出たばかりなので使用経験どころか製品を見たことすらありま
せん。
ボルベラXCは口唇増大の他に、微細なシワや凹みに適応があるとのことです。
ベロテロ・ソフトに代わり目元周囲に使用できるのではないかと結構期待していた
のですが、どうやら目元周囲への適応はないようでちょっとがっかりしています。
ボリューマ、ボリフト、ボルベラ、名前が似ているうえにパッケージも類似してい
るので、間違わないように注意して箱を開けないといけませんね。