ホクロ治療

切除+縫合

ホクロをメスで切除して、傷を縫合する方法です。
ホクロに限らず、皮膚の良性腫瘍を除去する際の基本的な治療法です。
くり抜き切除とともに、1回の治療で完全にホクロを除去することができます。
この方法の欠点は、長い傷を残してしまうということです。手術後の線状の傷の長さは、ホクロの直径の3倍以上の長さになってしまいます。短い傷にこだわると、傷の両端にドッグイヤー変形と呼ばれるふくらみが残ることもあります。
また、眉毛や目、鼻や口元などの構造物に近いホクロを単純に切除+縫合すると、周囲の形が歪むことがあります。
この方法は、比較的大きな色素細胞母斑や、毛が多数生えるホクロ、顔以外の体のホクロ、シワが深い年配の方のホクロの治療などに適顔の大きな色素細胞母斑の場合は、単純な切除縫合ではなく、局所皮弁という方法を用いて傷をふさぐことがあります。

 

くり抜き切除

メスやパンチを用いて、ホクロよりわずかに大きくくり抜いて切除する方法です。
あまりホクロぎりぎりに取ると再発の原因になります。
縫合せずにそのまま自然に治す場合と、1~2針縫合する場合があります。
比較的目立たない傷になりますが、丸く少し凹んだ傷が残ります。
この方法は、顔の小さなホクロ(特に5㎜以下)に適応があります。鼻や口元などの構造物の近くでも行うことができます。

 

高周波メス(サージトロン)や炭酸ガスレーザーによる焼灼・蒸散

サージトロンと呼ばれる高周波治療器や炭酸ガスレーザーなどを用いて、熱で組織を炭化・乾燥させてホクロを除去する方法です。
ホクロ周囲の組織に対する熱ダメージを少なくすることによって、最小限の傷でホクロを治療することができます。一般の手術に使われる電気メスでは周辺への熱ダメージが大きく適しません。
美容面に配慮したホクロの治療法として最もよく行われる方法です。
この方法では、深く除去すれば凹みが残りやすくなり、除去が浅すぎると母斑細胞を取り残して再発します。どの深さまで治療するかは、治療時の医師の判断に委ねられます。そのため、治療する医師の経験と技術が非常に重要になります。
小さいホクロ、浅いホクロでは目立つ傷にならずにきれいに治る可能性が高くなります。比較的大きくても盛り上がりのあるホクロでは、意外にきれいに取れることがあります。
一方、母斑細胞が深くまで存在するホクロでは、くり抜き切除と同様に少し凹んだ傷になります。平らでも比較的大きいホクロは、後述のQスイッチルビーレーザーと組み合わせて治療した方が目立つ傷にならずにすむ可能性があります。

 

Qスイッチルビーレーザー

ホクロ治療の中で、唯一傷を残さずに取れる可能性がある方法です。
母斑細胞がもつメラニン色素を破壊することによって、ホクロの色を薄くすることができます。Qスイッチレーザーの中でもルビーレーザーはメラニンへの吸収性が高く、日本人のメラニン色素性病変に対して最適のレーザーです。
ルビーレーザーによる治療では、ホクロの色が消えたからといって必ずしもホクロがなくなったとは限りません。また、1回のレーザー照射で完全に消えてしまうことは少なく、通常は数回の照射が必要です。レーザー照射の間隔は、1ヶ月を目安にします。母斑細胞が深くまで存在する場合は、薄く目立たなくはなっても完全には消失しないこともあります。
この方法は、平らなホクロに適応がありますが、蒸散治療と組み合わせることによって盛り上がりのあるホクロにも応用することがあります。平らなホクロでも蒸散と併用することによって、最小限の凹みで早くホクロを消失させることが可能になります。

 

症例

1.切除+縫合
症例1-1

【術前】

矢印

 

症例1-2

【術後6ヶ月】

紡錘形に切除して縫合しました。形成外科的縫合によって写真で見てもほとんどわからない瘢痕で治っています。
2.切除+縫合(局所皮弁法)
症例2-1

【術前】

矢印

 

症例2-2

【手術デザイン】

    矢印
    症例2-3

【術後1ヶ月】

    矢印
    症例2-4

【術後5ヶ月】

下まぶたや鼻に近い大きな色素細胞母斑であるため、単純に切除すると下まぶたや鼻の変形が予想されます。また長い1本線の傷は引きつれを生じて目立ちます。この症例ではdouble-Zplastyという方法を用いています。1ヵ月後の傷がまだ赤い状態を見ると、傷の形がわかると思います。赤みがひくと傷はほとんどわからなくなりました。まぶたや鼻の変形もありません。
形成外科の研修を受けていない医師の中には、1本の直線の傷がいつでも理想だと信じている方もいますが、頬においてはむしろ長い傷はかえって目立ちます。(当院HP「瘢痕形成術」も参考にしてください。)
3.くり抜き切除
症例3-1

【術前】

矢印

 

症例3-2

【術直後】

矢印

 

症例3-3

【術後4ヶ月】

生まれつきの色素細胞母斑です。上口唇中央のホクロとしては比較的大きく、蒸散でも凹みは避けられないと考え、根治性の高いくりぬき法を選択しました。くりぬき後に1針巾着縫合を行っています。瘢痕はできますが、凹みや再発もなくきれいに治っています。
4.くり抜き切除
症例4-1

【術前】

矢印

 

症例4-2

【術後3ヶ月】

くり抜き法としてはかなり大きめなホクロですが、ほとんど凹みにならずに治っています。この症例でもくりぬき後に巾着縫合を行っています。傷の赤みは今後さらに目立たなくなります。
5.蒸散
症例5-1

【治療前】

矢印

 

症例5-2

【治療後7ヶ月】

大きなホクロ2ヶ所を蒸散治療しています。一つのホクロは直径10㎜で後天性のホクロとしては最大級の大きさでしたが、2ヶ所ともほとんど傷を残さずにきれいに治っています。よく見ても傷はほとんどわかりません。7ヶ月経過しても再発はありません。蒸散治療においては、使用する器械が優れていても、その使い方が悪ければいい結果は得られません。治療する医師の経験と技術によって結果に差がでます。
6.蒸散
症例6-1

【治療前】

矢印

 

症例6-2

【治療後4ヶ月】

鼻尖は傷跡が目立つ部位なので、極力凹みが残らないように治療します。
7.蒸散
症例7-1

【治療前】

矢印

 

症例7-2

【治療後6ヶ月】

大きさ・色が異なるホクロを治療しましたが、5ヶ所ともほとんど傷にならずに治っています。
8.蒸散+Qスイッチレーザー
症例8-1

【治療前】

矢印

 

症例8-2

【蒸散後6ヶ月】

矢印

 

症例8-3

【Qスイッチレーザー追加後】

比較的大きなホクロであるため、できるだけ凹みにならないように蒸散とQスイッチレーザーを組み合わせて治療しました。
9.Qスイッチレーザー
症例9-1

【治療前】

矢印

 

症例9-2

【Qスイッチレーザー2回後】

2回のレーザー照射で全て消失しています。
Qスイッチレーザーは傷もできず簡単な方法ですが、すべてのホクロがこのように簡単に治るわけではありません。今後は再発に注意する必要があります。
10.Qスイッチレーザー
症例10-1

【治療前】

矢印

 

症例10-2

【Qスイッチレーザー1回後】

赤い唇の平らなホクロや色素斑は、Qスイッチレーザー治療のいい適応です。正常な赤い唇にはメラニン色素が存在しないため、ホクロや色素斑の部分にだけ集中してレーザーの光を反応させることができます。レーザー後の色素沈着も生じないため、肌色の皮膚の部分よりきれいに治すことができます。